趣意書を公開しました - 12月20日アート × イノベーション in 京都
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12月20日 アートxイノベーション シンポジウム at 京都大学 - 趣意書を公開しました。
ポッドキャスト敗者のつぶやき「#63 資本主義の新たな精神」を配信しました。
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12月20日の京都大学でのアート × イノベーションシンポジウムが、ヒップホップと茶の湯が並べられたり、イノベーションとアートが一緒に議論されていたりと、ワケわからないと言われたので、趣意書を作成しました。https://assemblage.kyoto/topics/post/artxinnovation-2025-text
無言の声を聞く
無言の声は、支配的な意味のシステムから排除され、意味が与えられず、声にならない音として無視される。音を出しても雑音としてしか聞かれない。システムから排除され、意味が与えられない、むしろ存在を与えられないもの。この排除された非-存在の場所から、どのような声を上げることができるのか? バイクライフやヒップホップを生み出しているアメリカのアフリカ系の人々の直面する現実である。
バイクライフは、レース用のオフロードバイクを、前輪を上げてウィリーして乗る「スポーツ」である。どれだけ長くウィリーできるのか、あるいは様々なトリックを競う。インスタグラムで映像が拡散し、世界中の若者が熱狂している。アメリカ東海岸ニューヨークやボルチモアで始まり、ヨーロッパでも、アフリカでも。
頼み込んでシステムの内部に入り込み、声を上げたらいいのだろうか? それでは、自分を排除してきたシステムを肯定することになってしまう。逆に、システムの外に留まり反発すればいいのだろうか? それこそがシステムが望んだことではないか。犯罪者扱いされ、システムの排除を正当化してしまう。だから排除しなければならないんだ、と。どちらも選択できない—ダブル。どちらかを選択するのではなく、倍加 (redouble)しなければならない。
アメリカの黒人の方々がアフリカのアイデンティティを主張することは、排除されたアイデンティティを固定化してしまうし、排除自体を必要としてしまう。人種主義と闘うためにアフリカのアイデンティティを掲げたパイオニアW.E.B.デュボイスは、後に自分が人種主義を「欲望」してしまっていたことを打ち明けている。一方で、人種など存在しないと説くことは、システムを批判するための足掛かりを失うことになる。人種が関係ないのだから。
Chandler, N. D. (2013). X―The Problem of the Negro as a Problem for Thought. American Literatures Initiative.
そもそもシステム自体を受け入れてはいけない。しかし、システムを受入れなければ、犯罪者扱いされてしまうが、これも受け入れてはいけない。ギャングなのではない。ギャングはシステムに明示的に対立する。しかし排除されたものは、対立することもできない。ギャングはシステムの内部に場所を持っている。この排除の問題を解決することはできない。解決という用語は、システムのものだ。解決できるという考え方自体が、排除を生み出している。
システムが徐々に場所を奪っていく。地価が上がり、高級アパートが作られる。町の真ん中に空間を切り開くしかない。しかし荏開津広は、それは単なる「ストリート」ではないと言う。「解放された公共圏」、「道路や公園や寂れたバーや改造されたローラースケート・リンクという空間に魔術のように、つまりパーティの続く間だけに限ってだが現出させる」空間を切り開くのがヒップホップである。
荏開津広. (2023)「セックス・マシン/ポエティッ ク・ジャスティス」『HIP HOP 50 ISSUE: ヒップホップ誕生50周年記念号 100枚の名盤ガイド』(小淵晃編) Pヴァイン, pp. 124–128.
何かを自分のこととして主張すると、盗んだと言われる。それなら盗むしかない。もちろん違法なことはしてはいけない。違法なことはやめろと言われて、違法なレース用バイクではなく合法なバイクに変えてみたが、同じように警察にチェイスされた。違法だからチェイスされているのではない。チェイスされるから違法になる。公道でも走れるようにバイクを改造し登録する。それでもチェイスされるから、常にスパイカメラをつけて警察の動きを記録する。
モーテンが言うように、逃走すること(fugitivity)の政治はひとつの可能性と言えるだろうか。システムには捉えられない速さで移動しよう。逃げるのではなく、システムの論理を拒否する。イエスともノーとも言わないこと、そのような選択すら拒否すること、例えばイエスと言いながらノーと言うこと、質問を攪乱すること。… (詳しくはウェブサイトにて)
1. アート×イノベーション シンポジウム at 京都大学
無言の声を聞く: 解放とイノベーションのアート
Listening to the Silent Voices: Art of Liberation and Innovation
ベルリンから、第36回サンパウロ・ビエンナーレ・総合キュレーターのボナベンチュール・ソー・べジェン・ンディクン博士(Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung)を迎えて、アートとイノベーションのシンポジウムを行います。ヒップホップアーティスト、DJ、笛奏者、現代アーティスト、茶人まで、多様なゲストと、時の流れを止め、アート、政治、イノベーションについて考えたいと思います。
シンポジウム趣意書: https://assemblage.kyoto/topics/post/artxinnovation-2025-text
申込ページ: https://artxinnovation-kyoto.peatix.com
12/20 (土) 10:15-18:00
場所: 京都大学 時計台1階 百周年記念ホール
個人参加者 無料
企業参加者 3000円* (企業から業務として参加の場合)
予定 (情報は順次アップデートしていきます。)
10:15-13:15 第1部 詩の沈黙: バイクライフとヒップホップ The silence of poetry: Bikelife and Hiphop
ヒップホップ、バイクライフ(米国東海岸のバイク文化)などを題材に、「ブラックネス」の政治とアートを議論する。沖縄のヒップホップアーティストによるパフォーマンス、そしてパネルディスカッション。
昼食 (会場は飲食不可ですので近隣で各自で取っていただくことになります。京大のカフェテリアルネは営業しています。)
14:30-18:00 第2部 意味の宙吊り: イノベーションとアート The suspension of meaning: Innovation and Art
意味のシステムに解体するイノベーションを議論する。アートの政治的実践、政治的アートを議論しつつ、茶の湯にも触れる。雲龍の笛の演奏で始まり、最後はdj sniffの音楽で複数の線(tracks)をたどる。
12/21 (日) [連動イベント] Bonaventure教授キュレーション講義
時間: 14:00-16:00
場所: 京都市立芸術大学 C棟4階 講義室10
参加無料 (どなたでも歓迎)
登壇者
Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung ボナベンチュール・ソー・べジェン・ンディクン, Director and Chief Curator, Haus der Kulturen der Welt (HKW), ベルリン
荏開津広 Hiroshi Egaitsu, 執筆家・DJ
BIG KNOT, Records/Clothing/Café (沖縄)
Kuniko, シンガー (沖縄)
TECH NINE, Hiphopアーティスト, 石垣島出身のラッパー
dj sniff, 音楽家・ターンテーブリスト・キュレーター
矢野原佑史 Yushi Yanohara, 神戸大学国際文化学研究科
田中功起 Koki Tanaka, アーティスト, 京都市立芸術大学
蔵屋美香 Mika Kuraya, キュレーター, 横浜美術館 館長, 京都大学経営管理大学院 客員教授
木村宗慎 Soshin Kimura, 茶人, 京都大学経営管理大学院 客員教授, 芳心会主宰
雲龍 Unryu, 笛奏者・音楽家・細野晴臣 with 環太平洋モンゴロイドユニット
杉山加奈子 Kanako Sugiyama, 文化・アート起業家、キューレーター、プロデューサー
山内 裕 Yutaka Yamauchi, 京都大学経営管理大学院
主催
京都大学エステティック・ストラテジー・コンソーシアム
共催
京都大学経営管理大学院 CHA寄附講座 (Creativity, Humanities & Aesthetics)
京都大学経営管理大学院 キュレーション理論・実践とマネジメント寄附講座
京都市立芸術大学美術学部美術科構想設計専攻田中功起研究室
京都大学成長戦略本部
京都大学 大学院教育支援機構デザイン学大学院連携プログラム(京都大学デザインスクール)
京都大学経済学研究科牧野成史研究室
後援
京都市
京都大学デザインイノベーションコンソーシアム
協力
京都知恵産業創造の森
問合せ
京都クリエイティブ・アッサンブラージュ運営事務局 info@assemblage.kyoto
音楽監督
荏開津広
共同企画
杉山加奈子
ビジュアルデザイン
大槻智央, ミャク代表
2. ポッドキャスト敗者のつぶやき「#63 資本主義の新たな精神」を配信しました。
リュック・ボルタンスキーとエヴ・シャペロの著書『資本主義の新たな精神』を取り上げ、60年代から現代に至るまでの経済・政治・文化の変遷について議論しました。これまで何度か80年代という軽い時代に触れてきましたが、その背景にある「批判」の弱体化を考察しました。
▶Topics
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神/学生運動・カウンターカルチャー/批判の弱体化/社会的批判と芸術的批判/ マネジメント理論・消費者文化の変化/資本主義による「批判」の回収
Spotify Podcast #63 資本主義の新たな精神
#62は、「イマジナリー(想像力)」(Apple / Spotify)でした。上記のシンポジウム趣意書の中にも少し出てきます。近年の終末論の批判的な雰囲気の中で、どうやって別様の社会を想像するのかを探索しています。#63の資本主義の新たな精神もその一環です。
Podcast「敗者のつぶやき」では、プログラムにも関連する人文社会学のトピックを毎回議論しています。
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敗者のつぶやき 公式X https://x.com/haisha_podcast


