12月20日アートxイノベーションシンポジウム at 京都大学、ほか
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12月20日 アートxイノベーション シンポジウム at 京都大学 (21日も)。
敗者のつぶやき「#61 ラブブ (Labubu)」を配信しました。
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最近ポッドキャストでも議論しているように、2024年は文化の転換期だと言うことができると思います。トランプ2.0では、シリコンバレーの「オリガーク」の一部がトランプのもとに参じ、 マスクのDOGEが衝撃を与えたことは、文化の転換を象徴しています。世界の終りや人類滅亡が議論されていますが、 その背景には異常気象、コロナ、戦争、物価上昇などで、世界が終焉に向かっている感覚があると思います。シリコンバレーの資産家たちの一部は、田舎に広大な土地を買って、食料や抗生物質を貯蔵して自分たちだけ生き残るための施設「バンカー(bunker)」を作っています。あるいは、人類が滅亡しても文明が生き残るように、身体とシリコンを統合していくトランスヒューマニズムを実現しようというスタートアップが動いています。AIではスーパーインテリジェンスが生まれると人類が滅ぼされるというディストピアと同時に、スーパーインテリジェンスで病気や寿命などの問題を一気に解決しようとか、「アバンダンス (豊かさ)」という空虚な標語を掲げる屈折した楽観論があります。
2010年代は、今からふりかえると、言説の中に閉じて安心することができた時代だと思います。スマホの中で充足することができた時代です。だから、ミニチュアの閉じられた世界観、転生ものの漫画なども力がありました。しかし、2020年代は現実がつきつけられて、スマホの中や言説の中だけに閉じることができなくなった感覚があります。コロナで現実が激変する体験、その後のAIの恐怖、そして戦争という形で、現実がいよいよヤバくなってきたという感覚です。2020年代は現実がつきつけられた時代と言えるでしょう。2010年代のフラットで軽いデザインから、厚みがあったり、色が過剰に組み合わされたり、曲線のデザインに回帰しています。若い人が着るようになった革ジャンの獣感やミャクミャクの「いのち」には、この現実の時代性を感じます。以下のポッドキャストでは、ラブブを題材に、この文化の変化を読み解こうとしています。
一方で、ディストピアの時代に何か明るい未来を考えようというもがきのようなものもあります。例えば、想像力(イマジナリー)に注目が集まっていますが、これは行き詰まった世界において、別様の未来を想像したいという焦燥だと言えるでしょう。今後は、このあたりも読み解いていきたいと考えています。
1. アートxイノベーション シンポジウム at 京都大学
無言の声を聞く: 解放とイノベーションのアート
Listening to the Silent Voices: Art of Liberation and Innovation
ベルリンから、第36回サンパウロ・ビエンナーレ・総合キュレーターのボナベンチュール・ソー・べジェン・ンディクン博士(Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung)を迎えて、アートとイノベーションのシンポジウムを行います。ヒップホップアーティスト、DJ、笛奏者、現代アーティスト、茶人まで、多様なゲストと、時の流れを止め、アート、政治、イノベーションについて考えたいと思います。
申込ページ: https://artxinnovation-kyoto.peatix.com
趣旨
聞こえる声もあれば、聞こえない声もある。社会には何が感じられ何は感じられないのかを規定する感性/意味のシステムが存在し、特定の存在は排除され声が与えられない。「イノベーション」はこのシステムを解体することである。それはシステムから排除された声にならない無言の声を聞き取ることから始まる。そして、この声は理路整然としたシステムの内部に収まり切らず、声でありながら声を越え、システムを切り崩す。詩の沈黙にしか到達できない排除された領域がある。この力が「ブラックネス」であり、バイクライフやヒップホップの政治でありアートの真髄ではないか。
同時に、この声が聞こえるように既存の感性/意味のシステムを切断することは、意味の通らない瞬間を生み出すことであり、 意味の充実した内容ではなく、純粋で空虚な形式が出現する唯一無二の場を切り開くことである。意味が通らず、時が止まり、詩が沈黙するとき。真に新しいものは、この純粋で空虚な形式からしか生まれない。意味あり内容の充実したものは、意味のシステムとそこからの排除を前提にしている。この空虚な形式の瞬間に、無言の声が聞こえてくる。
アートはこれを実践する。アートは社会における意味のシステムを宙吊りにするものであり、無-意味な形式を表現することで無言の声を聞かせる。アートとは、この意味でのイノベーションであり、イノベーションはアートを実践する。日本のアートである茶の湯も、このような意味の切断、そして純粋な形式の瞬間を生み出し、一期一会の唯一無二の出会いを可能にする。その静寂な瞬間に、システムには収まりきらず、それを切り裂く過剰が現われるだろう。
京都大学がリードし、京都市立芸術大学と京都工芸繊維大学と共同で進めている「京都クリエイティブ・アッサンブラージュ」のプログラムは、このような考え方に基づき、創造性を育てている。本シンポジウムは、2021年からのこれまでの成果を振り返り、次の方向性を見極めるための、実験的な試みである。
12/20 (土) 10:15-18:00
場所: 京都大学 時計台1階 百周年記念ホール
個人参加者 無料
企業参加者 3000円* (企業から業務として参加の場合)
*適格請求書発行事業者登録番号(インボイス番号)が発行できず、Peatixからのウェブの領収書のみとなりますので、ご了承ください。詳しくはこちらをご参照ください。
予定 (情報は順次アップデートしていきます。)
10:15-13:15 第1部 詩の沈黙: バイクライフとヒップホップ The silence of poetry: Bikelife and Hiphop
ヒップホップ、バイクライフ(米国東海岸のバイク文化)などを題材に、「ブラックネス」の政治とアートを議論する。沖縄のヒップホップアーティストによるパフォーマンス、そしてパネルディスカッション。
昼食 (会場は飲食不可ですので近隣で各自で取っていただくことになります。京大のカフェテリアルネは営業しています。)
14:30-18:00 第2部 意味の宙吊り: イノベーションとアート The suspension of meaning: Innovation and Art
意味のシステムに解体するイノベーションを議論する。アートの政治的実践、政治的アートを議論しつつ、茶の湯にも触れる。雲龍の笛の演奏で始まり、最後はDJ SNIFFの音楽で複数の線(tracks)をたどる。
12/21 (日) [連動イベント] Bonaventure教授キュレーション講義
時間: 14:00-16:00
場所: 京都市立芸術大学 C棟4階 講義室10
参加無料 (どなたでも歓迎)
登壇者
Prof. Dr. Bonaventure Soh Bejeng Ndikung ボナベンチュール・ソー・べジェン・ンディクン, Director and Chief Curator, Haus der Kulturen der Welt (HKW), ベルリン
荏開津広 Hiroshi Egaitsu, 執筆家・DJ
BIG KNOT, Records/Clothing/Café (沖縄)
Kuniko, シンガー (沖縄)
TECH NINE, Hiphopアーティスト, 石垣島出身のラッパー
DJ SNIFF, 音楽家・ターンテーブリスト・キュレーター
矢野原佑史 Yushi Yanohara, 神戸大学国際文化学研究科
田中功起 Koki Tanaka, アーティスト, 京都市立芸術大学
蔵屋美香 Mika Kuraya, キュレーター, 横浜美術館 館長, 京都大学経営管理大学院 客員教授
木村宗慎 Soshin Kimura, 茶人, 京都大学経営管理大学院 客員教授, 芳心会主宰
雲龍 Unryu, 笛奏者・音楽家・細野晴臣 with 環太平洋モンゴロイドユニット
杉山加奈子 Kanako Sugiyama, 文化・アート起業家、キューレーター、プロデューサー
山内 裕 Yutaka Yamauchi, 京都大学経営管理大学院
主催
京都大学エステティック・ストラテジー・コンソーシアム
共催
京都大学経営管理大学院 CHA寄附講座 (Creativity, Humanities & Aesthetics)
京都大学経営管理大学院 キュレーション理論・実践とマネジメント寄附講座
京都市立芸術大学美術学部美術科構想設計専攻田中功起研究室
京都大学成長戦略本部
京都大学 大学院教育支援機構デザイン学大学院連携プログラム(京都大学デザインスクール)
後援
京都市
京都大学デザインイノベーションコンソーシアム
協力
京都知恵産業創造の森
問合せ
京都クリエイティブ・アッサンブラージュ運営事務局 info@assemblage.kyoto
音楽監督
荏開津広
共同企画
杉山加奈子
ビジュアルデザイン
大槻智央, ミャク代表
2. 敗者のつぶやき「#61 ラブブ (Labubu)」を配信しました。
世界的に流行しているキャラクター「ラブブ」をヒントに、気持ち悪さをもつものが受け入れられる、2025年の文化について、議論しました。
▶Topics
終末論/現実感/不気味/過剰/アメリカ大統領選/ストレンジャー・シングス/ちいかわ/ミャクミャク/「いのち」/8番出口/リミナル・スペース/2000年代・2010年代・2020年代。
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