アート×ビジネス「エンジニアとアーティストが交わるとき──共創が生む可能性」ほか
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再度ご案内: エンジニアとアーティストをつなぐオープンプラットフォームQumuqumuさんとの共催イベントを開催します(9/14)。
ダイアログ「日本企業のエンジニアが輝くとき: 仕事、遊び、アートの関係を考える」の動画を公開しました。
敗者のつぶやき「#56 AIとディストピア」を配信しました。
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前回は、ヴェネチア・ビエンナーレのいくつかのパヴィリオンについてご報告しました。今回のポッドキャストでも議論していますが、近年文化が大きく変化しており、その背景にはある種のディストピアがあります。社会がよい状態に向かう力を失ったこと、既存の社会の枠組みに根拠がないという虚無感があることが背景にあります。ノルディックのパヴィリオンなどはその最先端ですが、別の方向性もいくつか見えてきました。
ベルギーでは、森自体を建物の中に取り込むことができるのかという実験が行われていました。建物は自然の気候から守るものでしたが、真逆に建物の中に気候を作り出そうとしていました。様々な木が生い茂る森を建物の中に実現するために、コンピュータ、センサー、アクチュエータで高度に制御しています。トランスヒューマニズム的に技術を追求するのではなく、技術によって自然の崇高性をより強調しようとしているという意味で、新しいイデオロギーだと言えます。人間の建物のために自然を作ってしまうという人間中心主義に回帰するようで、自然の力をより強く解放しようとするものでもあります。この方向性は今後数年間により強まり、いくつか革新的な事例が出現するような予感があります。
ポーランドは、また別の方向性を追求していました。近代的な建築と対比して、おまじない、神話、お守りなどを対置していました。ポッドキャストなどで議論してきているように、ここ数年このようなスピリチュアルな領域への注目が集まっています。そして、どちらかというと現代の言説では消されてしまった過去のスピリチュアルなものを、呼び起こそうというものです。しかも、それが特定の国だけではなく、世界中で共通して見られることを強調しており、ある種の近代的なユニバーサルな価値を示してもいます。このイデオロギーも今後も継続すると思います。
その中で、日本のパヴィリオンは、独特の存在感を放っていました。「間」をテーマとして、人間だけではなく、建物の部材や穴(間)も声を発する対話が示されるというアート作品であり、ところどころわかりやすいメッセージがあるものの、全体的に問いを投げかけるスタンスでした。現在のディストピア的なコンテキストで、ある種のユートピアを暗示することができるということは、とても示唆的でした。
限られたスペースでは伝えきれませんが、他にも面白い展示がありました(特に英国GB)。やはり今回も、同じ時代に同じような問いに応答していること、そして様々な応答が多様なイデオロギーを示すことがわかり、イデオロギーの星座の意義を再確認しました。ビエンナーレをこのように見ていただけると、また違った面白さがあるのではないかと思います。
1. エンジニアとアーティストが交わるとき──共創が生む可能性
日本の大企業に所属するエンジニアたちが、現代美術作家とともにアート作品を創る──。 そんなユニークな共創が、株式会社IHIの社内プロジェクトをきっかけに始まり、現在は企業の枠を越えた有志活動として広がっています。
何がエンジニアを動かすのか アーティストは企業人とどう交わるのか そして、企業は創造の現場にどう関わるべきなのか。
本イベントでは、エンジニアによる共創チーム「QUMU」から新居達也氏、北川剛史氏、佐藤彰洋氏を招き、現代美術作家の野村在氏、京都大学経営管理大学院の山内裕教授とともに、QUMUの活動拠点である横浜みなとみらい ExPLOT Studioからその可能性と課題を探ることで、創造性やイノベーションの新たな契機を見出します。
イベント概要
日時:2025年9月14日(日) 15:00-17:30(懇親会17:30-18:30, 閉場19:00)
場所:ExPLOT Studio https://explotstudio.wixsite.com/site/access
申込:https://peatix.com/event/4540362/view
参加費
[一般] イベント+懇親会 (軽食・ドリンク付)2,000円
[一般] イベントのみ参加1,000円
[会員*/学生] イベント+懇親会 (軽食・ドリンク付)1,000円
[会員*/学生] イベントのみ参加無料
[一般/会員*/学生] アーカイブ視聴 (後日・期間限定) 1,000円
※会員*:京都クリエイティブ・アッサンブラージュ受講生/修了生、京都大学エステティック・ストラテジー・コンソーシアム会員、ExPLOT Studio入居者の方
登壇者
QUMU(くむ)
エンジニアとアーティストをつなぐオープンプラットフォームとして2024年に設立。自主的に活動するエンジニアが中心となり、表現と技術の協働による新たな価値創出を目指す。2025年4月19日~6月1日に開催された野村在《今日、という日 /Today, is the day》(parcel)において、LED モニターによる映像作品<Today>シリーズの制作協力を実施。今回はエンジニアの新居達也氏、北川剛史氏、およびバックオフィス担当の佐藤彰洋氏が登壇する。
野村 在(のむら ざい)
現代美術作家。1979年生まれ。2009年ロンドン大学ゴールドスミス校・MFA 修了、2013年に武蔵野美術大学博士課程を修了。主な展示に、「The 13th Seoul Mediacity Biennale《Séance: Technology of Spirit》」(ソウル、2025)、「第17 回shiseido art egg 野村在展 」資生堂ギャラリー( 東京,2024 )、「OPEN SITE 8 」TOKAS 本郷( 東京,2024 )、「あいちトリエンナーレ」( 愛知,2016 ) など。 https://www.nomurazai.com/
2. ダイアログ「日本企業のエンジニアが輝くとき: 仕事、遊び、アートの関係を考える」の録画を公開しました。
上記の9月14日のイベントでアートとビジネス、アートとエンジニアリングの関係を議論しますが、その序章として魔改造の夜を取り上げて議論しました。日本企業のエンジニアは世界最高水準のチャレンジングな仕事をしながら、外からはその仕事が見えにくく、必ずしも社会の中で十分な注目を集めているとは言えません。一方で、NHK『魔改造の夜』では、実用とは関係がない遊びのような取組に、各社のエンジニアが真剣に取り組む姿が人々を魅了し、個々のエンジニアが輝くきっかけとなっています。魔改造の夜に出演した一部のエンジニアは、その後企業の枠を越えて様々な取り組みに参加し、自身の実務とは関係がないアート制作にまで取り組んでいます。
[登壇者]
佐藤 彰洋 株式会社IHI 技術開発本部 技術企画部 主幹
村上 晃一 IHI運搬機械株式会社 顧問/株式会社IHI 元取締役・常務執行役員 技術開発本部長
https://assemblage.kyoto/archives/post/dialogue-qumu1-2025
3. Podcast 敗者のつぶやき 最新回「#56 AIとディストピア」
近年のアメリカ政治を大きく動かしている思想で注目を集める、AIと人類滅亡に関連した言説を議論しました。
▶Topics
テックライト/新反動主義(neoreactionary)/民主主義からのエグジット/プレッパー/トランスヒューマニズム/ロングターミズム/IQリアリスト/人種主義/終末思想/ニック・ランド
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