「エンジニアとアーティストが交わるとき──共創が生む可能性」開催ほか
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Updates
先日、ヴェネチア・ビエンナーレを見てきました。ビエンナーレは、その時代における重要な問いに対して、多様なクリエイターがどのように応答しているのかを知ることのできる、貴重な機会です。特に今年は建築のビエンナーレでしたが、アートのビエンナーレと比べても、「建物を建てる」という実務的な要素がある分、社会のイデオロギーを読み解きやすいという特徴があります。2回に分けてご紹介したいと思います。
今年のビエンナーレのテーマは、"Intelligens. Natural. Artificial. Collective"でした。その趣旨は、気候変動で様々な災害が起こる中で、建築のあり方を考えようというものでした。Intelligentではなく、Intelligensという新語を使っているのですが、「人 (gens=people)」という意味を込めているとのことです。このあたりは政治的にややこしいので(別の機会に説明します)、あえて読み替えたと想像されます。
デンマークのパヴィリオンは、かなり過激な試みとして、パヴィリオン自体をリノベーションし、床を剥がして土をむき出しにした状態を提示していました。通常であれば廃棄されるもともとあった素材を使ってリノベーションを進めるというコンセプトです。
このコンセプト自体はとても明快で、従来であれば再利用の世界を「きれいに」見せる展示が多かったところ(例えばスペインのパヴィリオンはそのような傾向でした)、ここでは工事現場の状態をそのまま見せたり、土や石が付着した床材を机にしたりと、過激さとディストピア的な雰囲気を漂わせていました。
その隣のノルディック・パヴィリオンでは、人間と機械の融合によって人間を超越しようとする思想「トランスヒューマニズム」が取り上げられていました。しかし、ここでも決して輝かしい未来を描くのではなく、むしろディストピア的な雰囲気を前面に押し出していました。
トランスヒューマニズムは、AIとも結びつき、現代の経済や政治の柱になりつつありますが、その背後には「人間の絶滅や終焉」という影が立ち現れているのがわかります。
このようにビエンナーレは、同時代への多様な反応が「星」として並列に展示され、それらがイデオロギーの星座を形づくるもととなるという意味で、私たちにとって非常に重要な機会と言えます。
後半に続く。
Topics
エンジニアとアーティストをつなぐオープンプラットフォームQumuqumuさんとの共催イベントを開催します(9/14)。
本プログラム講師 水野大二郎教授が実行委員としてDESIGNEAST IKIKIIKIIKI を開催します(9/19~21)。
敗者のつぶやき「#55 象徴」を配信しました。
1. エンジニアとアーティストが交わるとき──共創が生む可能性
日本の大企業に所属するエンジニアたちが、現代美術作家とともにアート作品を創る──。 そんなユニークな共創が、株式会社IHIの社内プロジェクトをきっかけに始まり、現在は企業の枠を越えた有志活動として広がっています。
何がエンジニアを動かすのか アーティストは企業人とどう交わるのか そして、企業は創造の現場にどう関わるべきなのか。
本イベントでは、エンジニアによる共創チーム「QUMU」から新居達也氏、北川剛史氏、佐藤彰洋氏を招き、現代美術作家の野村在氏、京都大学経営管理大学院の山内裕教授とともに、QUMUの活動拠点である横浜みなとみらい ExPLOT Studioからその可能性と課題を探ることで、創造性やイノベーションの新たな契機を見出します。
イベント概要
日時:2025年9月14日(日) 15:00-17:30(懇親会17:30-18:30, 閉場19:00)
場所:ExPLOT Studio https://explotstudio.wixsite.com/site/access
申込:https://peatix.com/event/4540362/view
参加費
[一般] イベント+懇親会 (軽食・ドリンク付)2,000円
[一般] イベントのみ参加1,000円
[会員*/学生] イベント+懇親会 (軽食・ドリンク付)1,000円
[会員*/学生] イベントのみ参加無料
[一般/会員*/学生] アーカイブ視聴 (後日・期間限定) 1,000円
※会員*:京都クリエイティブ・アッサンブラージュ受講生/修了生、京都大学エステティック・ストラテジー・コンソーシアム会員、ExPLOT Studio入居者の方
登壇者
QUMU(くむ)
エンジニアとアーティストをつなぐオープンプラットフォームとして2024年に設立。自主的に活動するエンジニアが中心となり、表現と技術の協働による新たな価値創出を目指す。2025年4月19日~6月1日に開催された野村在《今日、という日 /Today, is the day》(parcel)において、LED モニターによる映像作品<Today>シリーズの制作協力を実施。今回はエンジニアの新居達也氏、北川剛史氏、およびバックオフィス担当の佐藤彰洋氏が登壇する。
野村 在(のむら ざい)
現代美術作家。1979年生まれ。2009年ロンドン大学ゴールドスミス校・MFA 修了、2013年に武蔵野美術大学博士課程を修了。主な展示に、「The 13th Seoul Mediacity Biennale《Séance: Technology of Spirit》」(ソウル、2025)、「第17 回shiseido art egg 野村在展 」資生堂ギャラリー( 東京,2024 )、「OPEN SITE 8 」TOKAS 本郷( 東京,2024 )、「あいちトリエンナーレ」( 愛知,2016 ) など。 https://www.nomurazai.com/
2. DESIGNEAST IKIKIIKIIKI
DESIGNEASTは、「デザインする状況をデザインする」ことを目的に、2009年に始動したプロジェクトです。関西・大阪を拠点に活動するデザイナー、建築家、編集者、研究者の5名の実行委員が中心となり発足しました。
このたび、2016年の開催以降9年ぶりに、DESIGNEASTを開催します。今年のDESIGNEASTのテーマは、相反するものがともに息づき、往来する豊かな状態を表す「IKIKIIKIIKI(いきき・いきいき)」。
「予測可能で短期的・片利的なデザインの代替として、長期的で関係的なデザインは、既存の価値構造を撹乱しうるか?」「今・ここの“圏内”と、周縁化された“圏外”の世界観をつなぎとめ、往来する豊かな回路をデザインすることは可能か?」こうした問いに対する多様で豊かな応答が交差する場をつくりたいと考えています。今日における/これからの建築やデザインについてはもちろん、生きること・居ることそのものをめぐる対話の場となるはずです。
かつて造船場だった文化芸術創造拠点「クリエイティブセンター大阪」を舞台に、SPEAKERS CORNER、EXHIBITION、WORKSHOP、FOOD、SHOPなど 多彩なプログラムを同時に展開します。
イベント詳細|https://designeast.jp/
開催概要
日程 | 2025年9月19日(金)~21日(日) *19日(金)は前夜祭
会場 | クリエイティブセンター大阪 〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋4-1-55
申込|https://peatix.com/event/4517141/view
入場料 |
19日前夜祭 一律5,000円(食事付き/ドリンクキャッシュオン)
前売チケット(2DAYS) 一般 5,000円、学生 3,000円
当日チケット(1DAY) 一般 3,000円、学生 2,000円
PIY(Price it Yourself)チケット 10,000円~
主催 | DESIGNEAST実行委員会(家成俊勝 / 多田智美 / 原田祐馬 / 水野大二郎 / 柳原照弘)
協力 | 一般財団法人 おおさか創造千島財団
3. Podcast 敗者のつぶやき 最新回「#55 象徴」
イノベーションを起こすには、「象徴」をデザインしなければなりません。しかし象徴自体は空虚でなければならず、空虚をデザインするという難しさがあります。今回はこの理論的な背景について、美学における象徴概念に基づいて議論しました。
▶︎Topics
空虚と無意味/2つの無意味/アレゴリー(寓意)/瞬間性/道徳と美的判断/ヌーメナ(noumena)/2つの過剰/近代におけるアート/ドラァグ
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